今年もあっという間に年の瀬が近づいてきましたね。1年間の感謝の気持ちを込めて贈る「お歳暮」は、日本ならではの素敵な習慣です。
この記事では、お歳暮の意味から、贈る相手、時期、熨斗紙の選び方まで知っておきたい基本マナーを分かりやすくご紹介します。
お歳暮の「意味」と「由来」を知ろう

お歳暮とは、「1年間お世話になった方への感謝」と「来年も変わらぬお付き合いをお願いします。」という気持ちを込めて、年末のご挨拶として贈る品のことです。
この習慣は、古くからの祖先の霊を祀る「御霊祭(みたままつり)」に由来すると言われています。
年の暮れに神様や祖霊へのお供え物を分家や使用人が本家へ持ち寄った風習が、やがて室町時代に近隣への挨拶回りへと変化しました。さらに江戸時代になると、武士や商人が目上の人や取引先へ年末の挨拶として贈り物をすることが定着し、現在のお歳暮の形となりました。
時を経て形は変わりましたが、「感謝と、これからもよろしくという気持ちを伝える」という根本的な意味は今も変わりません。
誰に贈る?基本的な「贈り先」と「相場」
さあ、いざ準備!となると、「そもそも誰に贈るのが一般的?」と悩む方もいるかもしれません。明確なルールはないので、日頃お世話になっている方々へ、感謝の気持ちを伝える良い機会と捉えましょう。
主な贈り先
日ごろからお世話になっている方や、感謝を伝えたい相手に贈るのが基本です。
たとえば──
- 実家のご両親や離れて暮らす家族
- お世話になった親戚
- 上司・取引先
- 恩師や習い事の先生
- 友人・同僚
などが一般的な相手として挙げられます。
相場の目安
あまり高価すぎるものは、かえって相手に「お返しをしないと」と気を遣わせてしまうこともあります。相手との関係性に合わせて、無理のない範囲で気持ちの伝わる品を選びましょう。
| 贈る相手 | 一般的な相場 |
| 家族、親戚、知人など一般的なお付き合いの方 | 3,000円〜5,000円 |
| 特にお世話になっている方 | 5,000円〜10,000円 |
贈ってはいけない相手と品物

お歳暮は「感謝を伝える贈りもの」ですが、相手の立場や状況によっては、控えたほうがよい場合もあります。
贈ってはいけない、または注意が必要な相手
- 公務員や政治家など
→ 法律や規定で贈答品の受け取りが厳しく制限されている場合があります。贈収賄と疑われることを避けるためにも、贈るのは控えましょう。 - 会社や職場の規定で禁止されている
→ 上司や取引先が属する企業・団体が贈答品を禁止している場合、お歳暮を贈ることはできません。 - 喪中(もちゅう)の相手
→ お歳暮は「お祝い事」ではありませんが、一般的に忌中(四十九日/五十日祭まで)は贈答品を避けるのが無難です。忌明け後(四十九日後)であれば贈っても問題ありませんが、気になる場合は時期を少しずらし、松の内(関東は1月7日・関西は1月15日)を過ぎてから贈るのがより丁寧です。
お歳暮にふさわしくない品物
- 刃物類(包丁・ハサミなど)
→ 「縁が切れる」といった意味につながるため、避けられる傾向があります。 - ハンカチ
→ 「手切れ」の意味を連想させる場合があるため、贈り物には不向きです。 - 下着や靴下など身につけるもの
→ 靴下やスリッパなどの履物は「相手を踏みつける」という意味に、肌着は「みすぼらしい格好をしている」という意味に捉えられかねません。 - 現金を直接渡すこと
→ 「お金に困っているから渡した」という意味になるため、避けましょう。
いつ贈る?お歳暮を「贈る時期」と遅れた時のマナー
お歳暮を贈る時期は地域によって期間が少し異なります。相手の方が住んでいる地域に合わせて確認しましょう。
地域別「贈る時期」
| 地域 | 贈る時期の目安 |
| 関東地方 | 12月初旬〜12月20日頃 |
| 沖縄 | 12月1日~12月25日頃 |
| その他の地域 | 12月10日~12月20日頃 |
近年は、相手の年末の忙しさを避けるため、どの地域でも12月初旬から12月20日頃までに届くよう手配する「早めの手配」が一般的になりつつあります。
熨斗(のし)マナーのまとめ:基本と応用編

贈り物を贈る際に欠かせない「のし紙」は、感謝の気持ちを伝えるための大切なラッピングです。
間違ったものを選ぶと失礼にあたってしまうため、ここでしっかり基本を確認しましょう。
お歳暮で使う「のし紙」の基本
| 項目 | 正しい選び方 | ポイント |
| 水引の種類・本数 | 紅白の蝶結び・5本/7本 | 季節の挨拶は「何度繰り返しても良い」ことなので、結び目をほどいて結び直せる蝶結びを選びます。 |
| 表書き(のし上) | 「御歳暮」 | 毛筆や筆ペンで楷書書きをするのが正式な書き方です。 |
| 名入れ(のし下) | 贈り主の氏名 | 表書きの真下に、親戚などに家族一同からお歳暮を贈る場合は姓のみ、もしくは家長の下の名前まで書きます。また、目上の相手に贈る場合は、フルネームを記載します。 |
のし紙の掛け方:品物に直接のし紙をかけてから包装する「内(うち)熨斗」は、控えめな印象で、郵送する際に適しています。包装紙の上からかける「外(そと)熨斗」は、贈答品であることが一目でわかるため、手渡しする場合によく用いられます。
時期や状況に応じた「表書き」の使い分け
うっかり手配が遅れて、お歳暮の期間を過ぎてしまった場合は、失礼のないよう熨斗の表書きを変えて贈るのがマナーです。
- 年内に間に合わなかった場合
→ 年内に贈ることができず、年明けになってしまった場合は、新年のご挨拶として贈ります。
※松の内まで(関東では1月7日、関西は1月15日)は「御年賀」として贈りましょう。 - さらに遅れた場合(松の内を過ぎたとき)
→ さらにその時期を過ぎてしまった場合は、「寒さが厳しい季節にお見舞い申し上げます」という意味を込めて「寒中御見舞・寒中御伺」として贈りましょう。この場合は、暦の上で春が来る「立春の前日(例年2月4日頃)」までに届くように手配しましょう。
※「寒中御伺」は、相手に対する敬いの気持ちが込められた言葉です。目上の相手に贈る場合に使用します。
相手の方が喪中の場合は、「お祝い事」と連想される「御歳暮」や「御年賀」は避けるのがマナーです。この場合、時期を問わず松の内が過ぎてから「寒中御見舞・寒中御伺」として贈るようにしましょう。
その際、熨斗紙は水引なしの白無地の掛け紙を使用します。紅白の蝶結びの水引や、のし飾りがついた通常の掛け紙は使用しないように注意しましょう。
簡略化された「短冊のし」も活用しましょう
近年は百貨店やオンラインショップで、小さく手軽な「短冊のし」が使われることも増えています。
短冊のしは、のし紙を簡略化したスタイルで、ややカジュアルな印象を与えるため、親しい間柄の相手や、のし紙を貼るスペースが限られる小さな品物に適しています。
一方で、目上の方や形式を大切にする相手に贈る場合は、通常ののし紙を選ぶのが無難です。
なにが喜ばれる?人気のギフト
お歳暮で一番大切なのは、日頃の感謝の気持ちを伝えること。しかし、せっかくなら「これをもらって嬉しかった!」と言われるような素敵な品を選びたいですよね。ここでは、特に人気の高いギフトと、失敗しない選び方のポイントをご紹介します。
| ギフトの種類 | おすすめの理由 | 選び方のヒント |
| お肉・ハム・ソーセージ | 食卓で家族みんなが楽しめる実用性の高い定番品です。 | 高級感のあるブランド品や、調理の手間がかからない詰め合わせが人気です。 |
| スイーツ・お菓子 | お茶請けや来客時にも喜ばれる、世代を問わず人気の高いギフトです。 | 有名店の焼き菓子や、個包装で日持ちするものを選ぶと親切です。 |
| 果物・産直グルメ | 旬の高級フルーツや地域の特産品など、特別感のある食品は大変喜ばれます。 | 生鮮品の場合は、相手の都合に合わせて配送日を指定できるものが◎。 |
| 飲料 (コーヒー・お酒・ジュース・お茶) | 毎日の習慣で消費されやすく、好みが分かれにくい品です。 | 家族構成や好みがわかっている相手に。お酒好きの方には、普段自分では買わないような、限定醸造品や地域の地酒・ワインが喜ばれます。 |
失敗しないギフト選びのコツ
- 日持ちするものを選ぶ
→年末年始は旅行や帰省で留守にする方も多いため、日持ちする食品や、生鮮品の場合は相手の都合に合わせて配送日を指定できるものを選ぶのがおすすめ。 - 相手の家族構成を考慮する
→ご高齢の方には少量の個包装品、大家族には大容量セットなど、相手のライフスタイルに合わせて選びましょう。
悩んだらこれ!困ったときのギフト
- カタログギフト
→「相手の好みが分からない」という時に最適です。
贈られた方が自分で本当に欲しいものを好きなタイミングで選べるため、失敗がありません。
グルメ専門や体験型など、種類も豊富なので、相手の方の趣味嗜好に合わせて贈ってみては?
まとめ:感謝の気持ちを丁寧に伝えましょう
お歳暮は、単なる習慣ではなく、1年間お世話になった方へ心からの感謝を伝える、大切な日本の文化です。
今回ご紹介したマナーや時期のルールを守りながら、あなたが「ありがとう」を伝えたいというその気持ちを、ぜひ素敵な贈り物に込めてくださいね。
心のこもったお歳暮で、気持ちよく一年を締めくくりましょう。
